向かう

2014/01/27

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─彼らは「向かう」んです。例えば、立ち上がった子どもは「あそこにお父さんがいる」ということで、ただ、お父さんに向かっていくだけなんです。宇宙遊泳のような感じですね。それがだんだん、向かう所に歩けるような力が出てくる。その時の、歩く力の内在した能力としては「向かう」ということなんです。─

前述の抜粋は、沖正雄さんというドイツ在住のシュタイナー教育に関わる方の講演記録の一部。とても惹かれた箇所だったので、冊子を読み終えてからも自分の中で言葉が残ったまま。反芻していると、ちょっとずつ気づきが生まれてきた。それは「働くこと」も同じだなぁという事。例えば「人を助けたい」という気持ちのあらわれが、ある人は料理を作ることかもしれないし、別の人は髪を切ることかもしれない。でも、出発点は「助けたい」というその一点。外の見え方が違うだけ。内在しているものこそが大切で、目先はその時々で変わってもいいんじゃないだろうか。料理人が美容師になってもいいし、デザイナーが農家になっても、きっといい。僕の仕事の大部分は「相手の話を聞く」という時間で、端から見るとデザインしている様にはまるで映らないかもしれない。だけどその時間こそ、僕なりの「向かう」のあわられで、その結果、デザインという形でこの世に出てきている。そんな内と外の関係。面白い。「外見は一番外側にあらわれた内側」とかいう誰かの言葉。言い得て妙ですね。

写真は息子と公園にて。どんどん成長する彼はいつも全力。興味のあるものへまっしぐら。走り負けないようにしないと…。そして、今日は僕の誕生日だったので、妻と郊外へ出向いて昼間から祝杯。晩には父から不器用なバースデーコールのサプライズも。笑 今を共に過ごし、明日へと向かってくれる家族や大切な友人たちに心より感謝を。